父を「老人ホーム」入れようとしたら驚きの金額“介護息子”の悲劇
父を老人ホームに入れようとしたら…
親が老いて心身に不自由が生じても、子の多くは日々仕事があり、自らの手で介護することは容易ではありません。
親不孝をしているような罪悪感が生まれ、「せめて介護にかかるお金くらい負担したい」という気持ちになる子もいるようです。
ヨウスケさん(東京都、50代)も、この5年、日本海沿いの実家で1人暮らしをする父親(80代)の介護費用を負担してきました。
ところが、特養(特別養護老人ホーム)に入居させようと考え始めたところ、自分が介護費用を出してきたことが原因で、特養の料金が高額になることが判明したのです。
ヨウスケさんは苦虫を嚙み潰したような顔で、「こんなことになるんだとわかっていたら、最初から援助をするんじゃなかった」と語ります。
いったいなぜ、こんなことになってしまったのでしょうか。
もともとヨウスケさんの父親は5年ほど前から介護保険のサービスを利用しています。
母親が亡くなって1人暮らしとなり、徐々に体が弱りました。
ヨウスケさんは、父親を東京の自宅に呼び寄せることを検討しましたが、父親は「この地を離れたくない」と拒絶。
ヨウスケさんの妻も、「同居する自信はない」と賛成してくれませんでした。
なんと「600万円」ものカネが…そのため、ヨウスケさんは父親の1人暮らしをサポートするために、コロナの前はほぼ毎月帰省。
日々の介護は介護保険のサービスや、食事の宅配サービスなどを入れました。
「介護してあげられず、申し訳なくて。せめてもと、介護にかかる費用は、僕が払うようにしてきました。介護保険のサービスのほか、自費サービスもあり、合わせると月5万円ほどです。
それに、実家の修繕もしました。
それに僕が行ったときくらい美味しいものを食べさせてあげて、交通費と介護費とあわせて月々10万円くらいかかっていました」とヨウスケさん。
月10万円ということは年120万円。
5年で600万円にものぼる高額です。
ヨウスケさんの父親は漁師でした。
個人事業だったので、年金は国民年金で月6万円程。蓄えは900万円弱だとか。
実は、最近、ほぼ寝たきりになり、ケアマネジャーから特養への入居を勧められています。自宅から近いところにあり、父親も「あそこなら、入ってもいい」と言っているそうです。
ヨウスケさんは特養にかかる費用について確認しました。すると、驚くべき事実が判明したのです。
負担額は「2倍以上」
介護保険にかかる費用は、本人や世帯の所得によって負担割合や負担上限額が変わります。父親の場合、所得は国民年金のみなので住民税非課税の低所得者です。医療費も介護費も負担は少なくて助かっていました。
特別養護老人ホーム(特養)などの介護保険施設に入居する際も、食費・居住費が軽減されるので(対象は介護保険施設とショートステイ)月6万円程で入れるだろうと見積もっていたそうです。
ところが、特養の費用軽減には資産も勘案されることが分かりました。「資産要件」と呼ばれ、本人(配偶者がいる場合は配偶者も)の資産が一定以上あると、住民税非課税でも軽減対象とならないのです。
ヨウスケさんの父親のように年金収入などが80万円以下の単身の場合は、預貯金等の残高が1,000万円超あると対象外に。
現在、ヨウスケさんの父親の口座の残高は900万円なので、ぎりぎりセーフで、軽減対象に該当します。
しかし、国は対象者を縮小しようと考えています。
2021年度改正があり8月より、“1000万円以下”という要件は“650万円以下”に変更となる予定。
父親の場合、900万円の残高があるので、軽減されず、特養に入居する場合の費用は月13万円ほどかかってしまうことになるのです。
月6万円のはずが、月13万円に……、負担額は2倍以上になってしまいます。
献身的な介護が「裏目」に出た
ヨウスケさんはこの事実を知り、頭がクラクラするほど驚いたと言います。「これまで父の援助をしてきたから、特養の費用が月13万円…? 納得できません。こんなことなら、父にかかる費用は、父のお金から使うべきでした」
この5年でかかった600万円を父親の口座から出していたら、残高は300万円まで目減りしていたはずです。
月5万円の介護費用だけを父親のお金から使っていたとしても、残高は600万円になっていたでしょう。
600万円なら、制度変更後も、特養の費用は軽減されます。
これまで父親のために支払った金額を記録し、領収書などを残していたら父親から返金してもらうこともできるかもしれません。
しかし、そこまでやっている人なんて、そうは多くはないでしょう。もちろん、ヨウスケさんも記録を残していませんでした。
実は、介護保険が誕生した当初、この「資産要件」はなく、2015年の改正で初めて登場しました。
当時も、「親の特養の利用料が2倍以上になった」という悲鳴がここそこから聞こえてきました。もちろん、本人の資産から支払って残額が定められた金額を下回れば軽減されるのですが……。
在宅で生活する人との公平性を図る必要があり、こうした改正は仕方のないことです。とは言っても、費用の倍増に困惑するのもわかります。
親の介護は親のお金で
「資産要件」が登場した2015年、特養の入居申し込みには、通帳のコピーの提出を求められるようになりました。「こんなことなら、たんす預金にしておけばよかった」というお年寄りがいました。
しかし、たんす預金にしていても、自己申告が必要です。
また、配偶者のいる人はその資産も関係することを知り、「(偽装)離婚しようかな」と真顔で言うお年寄りもいました。
もちろん止めましたが、そもそも「戸籍上の婚姻関係、内縁関係があれば申告することが基本であり、たとえ長期の別居状態であっても勘案」という内容になっています。
偽装離婚しても意味がありません。
もし、虚偽の申告をした場合は、軽減された金額を返還するとともに最大2倍の加算金が徴収されます。
今後も、介護保険の利用者負担は増える方向に進むことは間違いありません。
いまこの記事を読んでいる子世代の人が、「高齢者」となったときには、年金も介護保険もより厳しい時代になっていると思われます。
そのとき、自分の子に、自分の介護費用を負担してもらいますか。そんなことは望まないだろうし、現実的でもありません。
親の介護費用を負担するということは、自分の資産が減ずることを意味します。
自分自身の将来を守るためにも、親の介護にかかるお金は親本人のお金でやりくりすることをお勧めします。
太田 差惠子(介護・暮らしジャーナリスト)引用ヤフーニュース
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父を老人ホームに入れようとしたら…
親が老いて心身に不自由が生じても、子の多くは日々仕事があり、自らの手で介護することは容易ではありません。
親不孝をしているような罪悪感が生まれ、「せめて介護にかかるお金くらい負担したい」という気持ちになる子もいるようです。
ヨウスケさん(東京都、50代)も、この5年、日本海沿いの実家で1人暮らしをする父親(80代)の介護費用を負担してきました。
ところが、特養(特別養護老人ホーム)に入居させようと考え始めたところ、自分が介護費用を出してきたことが原因で、特養の料金が高額になることが判明したのです。
ヨウスケさんは苦虫を嚙み潰したような顔で、「こんなことになるんだとわかっていたら、最初から援助をするんじゃなかった」と語ります。
いったいなぜ、こんなことになってしまったのでしょうか。
もともとヨウスケさんの父親は5年ほど前から介護保険のサービスを利用しています。
母親が亡くなって1人暮らしとなり、徐々に体が弱りました。
ヨウスケさんは、父親を東京の自宅に呼び寄せることを検討しましたが、父親は「この地を離れたくない」と拒絶。
ヨウスケさんの妻も、「同居する自信はない」と賛成してくれませんでした。
介護を一人で完結しようというのが無茶
これ、私が特別養護老人ホームの相談員を行っていたときに多かったパターンですね。
仕事を辞めて介護に専念する家族。
二人暮らしを始めます。
でも、介護が辛すぎてギブアップ。
介護サービスを使ってももう無理…。
お金が無いから特別養護老人ホームに入ってほしい。
正直結構見る黄金パターンです。
ただ、特養に入るのであれば介護する人がいると特養に入りにくくなります。
ましてや仕事を辞めていると介護をする人がいるため、緊急性が低くなりますので結果特養に入りにくくなりますので、仕事を辞めて一人暮らしの家族を支えるためにUターンとかは一番やってはいけない行為です。
自分の首を絞める結果にしかなりません。
出来る限りリモート介護や、週末介護に留めましょう。
このケースは何とか特養に入れたようですが、また別の問題が勃発したようですね…。
特養がなぜ安いと言われるかの仕組みを理解していないと悲惨な結末になってしまいますね。
特別養護老人ホームが安いといわれる仕組み
部屋代と食事代に補助が付く
特別養護老人ホームは食事代と部屋代が所得や資産により軽減されます。
ですので、一般的に多くの利用者さんが6万円から9万円くらいで一か月不自由なく暮らすことが可能になります。
ただし、一般的な多くの利用者さんがそうであって、アナタやアナタの家族がその枠に該当するとは限りません。
私も長年仕事をしてきて、入居時に『資産もしょとくもない』と言い張って入居したのに、15万以上の利用料を払うことになった人は何人も見てきています。
そういう意味でも生前にお金の話をするのは大事ですよ?
なんと「600万円」ものカネが…
そのため、ヨウスケさんは父親の1人暮らしをサポートするために、コロナの前はほぼ毎月帰省。
日々の介護は介護保険のサービスや、食事の宅配サービスなどを入れました。
「介護してあげられず、申し訳なくて。せめてもと、介護にかかる費用は、僕が払うようにしてきました。介護保険のサービスのほか、自費サービスもあり、合わせると月5万円ほどです。
それに、実家の修繕もしました。
それに僕が行ったときくらい美味しいものを食べさせてあげて、交通費と介護費とあわせて月々10万円くらいかかっていました」とヨウスケさん。
月10万円ということは年120万円。
5年で600万円にものぼる高額です。
ヨウスケさんの父親は漁師でした。
個人事業だったので、年金は国民年金で月6万円程。蓄えは900万円弱だとか。
実は、最近、ほぼ寝たきりになり、ケアマネジャーから特養への入居を勧められています。自宅から近いところにあり、父親も「あそこなら、入ってもいい」と言っているそうです。
ヨウスケさんは特養にかかる費用について確認しました。すると、驚くべき事実が判明したのです。
貯蓄900万円…。
あー…。一般的な人が持っていない貯蓄ですね…。
これでは一般的な金額で特別養護老人ホームに入る事は難しいかもしれませんね…。
ちなみに、特別養護老人ホームは国の予算が大分入っていますので、職員もある程度手厚いですが、規制も多く、とても自由な生活を送れるとは言い難いです。
安全に過ごせるように様々な規制が多く、一人で外出や家族とゆっくり部屋で過ごすことも場合によっては難しいです。
また、特別養護老人ホームは緊急性のある方を順番に入居させえていかなければいけない法律があるので、なかなか順番が回ってきません。
特別養護老人ホームの支払いが高額になるのであれば、有料老人ホームに入った方がいいと勧めたことも何度となくあります。
このパターンもケアマネ介護福祉士が相談員業務をしていたら有料老人ホームも視野に入れるように伝えますね…。
負担額は「2倍以上」
介護保険にかかる費用は、本人や世帯の所得によって負担割合や負担上限額が変わります。
父親の場合、所得は国民年金のみなので住民税非課税の低所得者です。医療費も介護費も負担は少なくて助かっていました。
特別養護老人ホーム(特養)などの介護保険施設に入居する際も、食費・居住費が軽減されるので(対象は介護保険施設とショートステイ)月6万円程で入れるだろうと見積もっていたそうです。
ところが、特養の費用軽減には資産も勘案されることが分かりました。「資産要件」と呼ばれ、本人(配偶者がいる場合は配偶者も)の資産が一定以上あると、住民税非課税でも軽減対象とならないのです。
ヨウスケさんの父親のように年金収入などが80万円以下の単身の場合は、預貯金等の残高が1,000万円超あると対象外に。
現在、ヨウスケさんの父親の口座の残高は900万円なので、ぎりぎりセーフで、軽減対象に該当します。
しかし、国は対象者を縮小しようと考えています。
2021年度改正があり8月より、“1000万円以下”という要件は“650万円以下”に変更となる予定。
父親の場合、900万円の残高があるので、軽減されず、特養に入居する場合の費用は月13万円ほどかかってしまうことになるのです。
月6万円のはずが、月13万円に……、負担額は2倍以上になってしまいます。
それなりによくあるケース
月6万円だと思っていたのが、13万円…。
部屋代や食事代を急に施設が値上げしたと顔を真っ赤にしながら突っ込んできた家族も一人や二人ではありません。
国もお金がないのか、福祉に力を入れる気がないのかはわかりませんが、毎年のように部屋代、食事代の補助を受けられる人たちの所得制限をどんどん引き下げています。
去年まで6万円だった人が来年には13万円の支払いになるなんて事はそれなりにあります。
このケースは初めから一般的な人のカテゴリーではなく、『国が決めたお金持ち』というカテゴリーに入っているんですね。
部屋代、食事代の補助率が低く、支払いが大きくなってしまっていますね。
年金6万円では年金だけで賄えなくなっていますね…。
献身的な介護が「裏目」に出た
ヨウスケさんはこの事実を知り、頭がクラクラするほど驚いたと言います。「これまで父の援助をしてきたから、特養の費用が月13万円…? 納得できません。こんなことなら、父にかかる費用は、父のお金から使うべきでした」
この5年でかかった600万円を父親の口座から出していたら、残高は300万円まで目減りしていたはずです。
月5万円の介護費用だけを父親のお金から使っていたとしても、残高は600万円になっていたでしょう。
600万円なら、制度変更後も、特養の費用は軽減されます。
これまで父親のために支払った金額を記録し、領収書などを残していたら父親から返金してもらうこともできるかもしれません。
しかし、そこまでやっている人なんて、そうは多くはないでしょう。もちろん、ヨウスケさんも記録を残していませんでした。
実は、介護保険が誕生した当初、この「資産要件」はなく、2015年の改正で初めて登場しました。
当時も、「親の特養の利用料が2倍以上になった」という悲鳴がここそこから聞こえてきました。もちろん、本人の資産から支払って残額が定められた金額を下回れば軽減されるのですが……。
在宅で生活する人との公平性を図る必要があり、こうした改正は仕方のないことです。とは言っても、費用の倍増に困惑するのもわかります。
特養に入るまでには資産は減らしておくべし
このケースでもわかる事ですが、お金を貯めこんでいても介護費用が上がるだけです。
ある程度の年齢になったら年金以外は名義も変えておきましょう。高額な車や保有している株式等も資産になりますし、家の売却や土地の売却、保険金の受取金もすべて本人の名義だと利益になるので介護保険料や介護サービスを受けた時に発生する部屋代、食事代も爆上がりします。
今流行りの個人年金も一括受け取りが出来るのであれば一括で受け取った方が介護保険的には有利です。
そうじゃないと中途半端に所得があって、部屋代や食事代が高いまま一生を過ごします。
老後のために蓄えた個人年金をみすみす無駄に消費することになりかねません。
親の介護は親のお金で
「資産要件」が登場した2015年、特養の入居申し込みには、通帳のコピーの提出を求められるようになりました。
「こんなことなら、たんす預金にしておけばよかった」というお年寄りがいました。
しかし、たんす預金にしていても、自己申告が必要です。
また、配偶者のいる人はその資産も関係することを知り、「(偽装)離婚しようかな」と真顔で言うお年寄りもいました。
もちろん止めましたが、そもそも「戸籍上の婚姻関係、内縁関係があれば申告することが基本であり、たとえ長期の別居状態であっても勘案」という内容になっています。
偽装離婚しても意味がありません。
もし、虚偽の申告をした場合は、軽減された金額を返還するとともに最大2倍の加算金が徴収されます。
今後も、介護保険の利用者負担は増える方向に進むことは間違いありません。
いまこの記事を読んでいる子世代の人が、「高齢者」となったときには、年金も介護保険もより厳しい時代になっていると思われます。
そのとき、自分の子に、自分の介護費用を負担してもらいますか。そんなことは望まないだろうし、現実的でもありません。
親の介護費用を負担するということは、自分の資産が減ずることを意味します。
自分自身の将来を守るためにも、親の介護にかかるお金は親本人のお金でやりくりすることをお勧めします。
介護は親のお金で行うのは鉄則
これは本当に鉄則です。
例えば、親の年金が5万円ちょっとで、老人ホームの費用が10万円…。
兄弟二人で2万5000円ずつ出し合って入居することにしたとしましょう。
残念な話ですが、何年払うかもわからない…。
そんな先の見えないランニングコストを背負って、今回のコロナウイルス騒動のようなことが起きて失職したり、アナタが病気になって支払い能力が無くなったらどうするのでしょうか?
中には初めから返済計画がかなりキツイ設定で、両親がご逝去された時に『やっと死んでくれた』と号泣した家族もケアマネ介護福祉士は見てきています。
あまりに辛すぎるお話ですよね…。
献身的に介護していた特別養護老人ホーム側…。
苦労して支払いをしていた家族…。
家族に悪態をつかれながら最期を迎える本人…。
最後に誰も幸せな結果を生み出さなかったです。
こんな最後にならない様…。
介護にかかるコストは出来るだけその人自身の所得で賄えるようにしましょう。
ケアマネ介護福祉士的には特養に入れただけでも幸せ…。
ケアマネ介護福祉士的にはなんだかんだで、一人暮らしの家族介護のために帰ってきたパターンで特養に入れただけでも幸運だと思います。
家に無職がいると介護が出来るだろうという判定になるのでなかなか特養に入る事すら難しいのが現状です。
むしろフィクションなのかな?
と思うぐらい稀有な事。
それだけ特別養護老人ホームへの入居は現在高いハードルだという事を認識していていただければと思います。
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